社会福祉法人会計(老人福祉施設)簿記の基本14 決算を意識した日常業務2

社会福祉法人会計(老人福祉施設)簿記の基本14 決算を意識した日常業務2

2020年4月6日
社会福祉法人会計 簿記

9-2決算を意識した日常業務(固定資産)

今回は決算を意識した日常業務で固定資産の処理についてお話しします。

 

私は以前会計事務所に勤めていたため、色々な個人や会社の会計処理のお手伝いをしておりました。

 

毎月訪問するところや、2か月に1回、半年に1回、更には1年に1回だけ訪問するところもありました。

 

毎月訪問だとその都度何か変化があれば対応できるのですが、訪問に間隔が空くとどうしても処理が後手になってしまいます。

 

今回の話に当てはめると、毎月減価償却をしていなかったり、固定資産の登録がされていなかったりということが生じている会社もありました。

 

社会福祉法人は会計処理が厳しいので、これを読んで頂いている方の会社はこんなことにはなっていないと信じておりますが、普段から行うべき処理の説明をします。

1、会計と固定資産台帳について

まずは購入が決まったら請求書が届きます。

 

その請求書を基に仕訳を入力します。

 

減価償却を行う関係から、①支払が事業の用に供した月以降であれば、事業の用に供した月で未払計上、②支払と事業の用に供した月が同じであれば、支払った仕訳を入力します。

仕訳

①固定資産/事業未払金 ✖✖✖

②固定資産/現金預金 ✖✖✖

 

①②どちらにしても事業の用に供した月で会計上、固定資産の計上がされますので、その月で固定資産台帳への登録を行います。

 

私の場合は、支払の仕訳を入力している担当者が別にいるので、毎月の支払時期に固定資産を購入した請求書が届いているかを確認し、もしあれば請求書のコピーをもらってすぐに登録を行います。

 

また、他拠点で固定資産の購入があれば、その拠点の会計担当者にFAXしてもらいすぐに固定資産台帳への登録を行うようにしています。

 

そのコピーしたものは、固定資産用のファイルを作成してあるのでそちらに綴って、いつでも見直しできる状態にしてあります。

 

これで会計での入力、固定資産台帳への登録ができておりますので、毎月の減価償却の仕訳も入力します。

 

次が重要です。

 

会計上の固定資産の金額と、固定資産台帳の金額が一致しているかの確認を毎月行うのです。

 

これを怠っていると、決算の時にいざ合わせようとしたら合っていなかったということがありえます。

 

金額の入力間違いなのか、減価償却の仕訳入力漏れなのか、固定資産台帳への登録漏れなのか。

 

時間が経てば記憶が薄れていきますし、複数の誤りがあれば決算の時期に訂正に時間を要します。

できることは毎月行っておいて、決算時期になるべく作業負担を軽くするようにしましょう。



2、仮払金や建設仮勘定について

期中に払った金額を仮払金や建設仮勘定としておく処理があります。

 

例えば、土地を購入する際に元々あった建物の取り壊し費用や設計費、土地本体を購入する時の頭金、分割金など一度に土地として購入せずに「土地」勘定に計上しないケースです。

 

決算の前に仮払金や仮受金は原因を追究して、できるだけ金額を残さないようにするものです。

 

あくまでなので、期中に解消すべき科目です。

 

そのため、一時的に仮払金、建設仮勘定を使用した場合は、適切な科目に振り替えないといけません。

 

お金の移動を要しない振替だけの仕訳であれば決算整理仕訳による処理でいいと思います。

できるだけ期中から、このような仮の科目の内容を把握して、解消することを意識しましょう。



3、リサイクル料について

これは車両運搬具のお話ですが、車輌を購入した時にリサイクル料が発生することがあります。

 

購入時はその時の経費とならないため、「長期前払費用」に計上します。

 

既存の車両にも過去にリサイクル料が発生していたら、何台分ものリサイクル料が「長期前払費用」の科目に残高として残っていることになります。

 

こちらも購入の都度、リサイクル料が発生しているかどうかの確認を行い、管理しておくのがいいと思います。

 

私のやり方としては、エクセルの表に車両の購入日、売却・廃棄日欄、購入により期中発生したリサイクル料、売却・廃棄により期中に消滅(費用化)したリサイクル料の入力欄を設けて合計金額が「長期前払費用」と一致しているかの確認を行っています。

例(金額は適当です)

車輌名 購入日 売却・廃棄日 発生リサイクル料 消滅リサイクル料 残高
✖✖✖ 平成25年4月15日 14,000 14,000 0
✖✖✖ 平成27年2月8日 8500 8,500
✖✖✖ 平成30年9月23日 11,000 11,000
✖✖✖ 令和2年3月2日 17,500 17,500
合計金額   51,000 14,000 37,000

上記の様に必要であろう項目を設けて、当期発生した車両については色を付けたりして、最終的に期末にこの表の残高と「長期前払費用」の金額が一致していればOKです。

 

私の会社は「長期前払費用」にはリサイクル料しか計上されておりませんので、それ以外のものが含まれているのであれば、それも併せて表に載せていいのではないでしょうか。

 

いかがでしたか?

 

そんなに時間はかかることはしておりませんが、日々時間がある時に作業を行うことで、決算の時期に時間を費やすことがなくなります。

 

決算時期には他にもやることがたくさんありますからね(;´д`)

 

次回は、決算前に行うべき資金移動についてお話ししようと思います。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。