社会福祉法人会計(老人福祉施設) 簿記の基本 3 貸借対照表の構造について

社会福祉法人会計(老人福祉施設) 簿記の基本 3 貸借対照表の構造について

2019年9月9日
社会福祉法人会計 簿記

 

2.貸借対照表の構造について

今回は貸借対照表についてお話します。

 

一般会計では、貸借対照表の借方(左側)は資産が表示され、更にその資産は流動資産と固定資産に分類されます。

 

また、貸方(右側)は負債と純資産が表示され、負債は流動負債と固定負債に分類されます。

 

純資産は資本金や利益剰余金などが表示されます。

 

しかし、社会福祉法人の貸借対照表は、一般会計とは科目名や表示内容が異なっております。

 

科目名については別の機会にお話ししますが、表示内容は、まず固定資産が大きく異なります。

 

有形固定資産は「基本財産」と「その他の固定資産」に分けなければいけません。

 

「基本財産」とは、法人の施設を形成する固定資産を言います。

 

例えば、ある施設があったとして、その施設が建っている土地やその建物を指します。

 

それ以外の土地や建物は、「その他の固定資産」の土地や建物に表示します。

 

また、純資産については、「基本金」「国庫補助金等特別積立金」「次期繰越活動増減差額」に分けられます。

 

一般会計とは全く異なりますね。

 

「基本金」は、施設を経営していくために無償で受けた寄付金のことをいいます。

 

「国庫補助金等特別積立金」は、国や地方公共団体等から受けた補助金のことをいいます。

 

「次期繰越活動増減差額」は、名前の通り、次期以降にどれだけの剰余金を繰り越せるか、その金額のことをいいます。一般会計で言う、利益剰余金に似ているのですが、社会福祉法人はその性質上、利益を追求していないので、利益という表現が合いません。そのためこのような表現になっています。

 

ちなみに社会福祉法人は、これまでの活動により増えてきた資金というのは、一般企業のように貯めこんでおくことができず、その資金を基に、さらに社会福祉の活動に資金を投入しないといけません。

 

このように一般会計と表示が大きく異なる部分があるので、処理の仕方も気を付けなければいけません。

 

次回は固定資産の減価償却についてお話ししようと思います。

 

ありがとうございました。