4、貸借対照表科目(事業未収金)について
今回は貸借対照表科目の内、流動資産の部の事業未収金に注目したいと思います。
一般会計では、売掛金と同じような科目と考えて頂ければわかりやすくなります。
ご存知の通り、売掛金は例えば、取引先に物を販売し、その売り上げたお金が後日入金される場合に使用します。
(借方)売掛金 ✖✖✖/(貸方)売上 ✖✖✖
社会福祉法人会計では、この売掛金という科目ではなく、「事業未収金」を使用します。
私の会社ではこの事業未収金を3つに細分化し、管理しやすくしております。
1つ目は「国保連事業未収金」です。
私たちがお医者さんに行った時に保険証を提示し、診察費の3割だけを負担し支払っております。(負担割合は人によって異なりますが)
介護保険でも利用者の収入金額に応じて負担割合が異なっており、1割負担、2割負担、収入の大きい方は3割負担することになっております。
この1割、2割、3割は利用者が負担しておりますが、残りの9割、8割、7割は国民健康保険団体連合会(以下、略して国保連)から施設に支払われます。
この国保連からの入金があるまでは「国保連事業未収金」に金額が残ることになります。
ちなみに社会福祉法人の事務の方々は、毎月10日までに行う保険請求にも携わっているのではないでしょうか?
例えば、9月10日までに行う保険請求は、前月の8月分の請求となりますので、その売上計上は8月末の日付で仕訳を起こします。
8/31 (借方)事業未収金ー国保連事業未収金 ✖✖✖/(貸方)介護報酬収益 ✖✖✖ となります。
収益の種類は多すぎるので、今回は例としてこの科目を使用しました。
この国保連の入金については、2か月後の25日に振込されます。
上記の例で言うと、8月分の事業未収金は10月25日に入金されます。土日祝日の場合はその前の平日となり、前倒しで入金されます。
入金時は、(借方)普通預金 ✖✖✖/(貸方)事業未収金--国保事業未収金 ✖✖✖ となります。
2つ目は、「利用料事業未収金」です。
こちらは、先ほどお伝えした利用者が負担すべき1割、2割、3割の利用料、また当社では、食事代、おむつ代、床屋代などの内容の収益を計上しております。
同じように、上記の8月請求で考えますと、8月請求は9月10日まで行い、その作業が終わると利用者に対する請求書を一斉に印刷します。
その請求書は郵送、手渡しで本人や家族に渡し、現金入金又は月末の引き落としにより、利用料を頂いております。
国保連は当然国が相手なので、入金の遅延はありえませんが、利用者の場合はお金を払いにこなかったり、引き落としの銀行口座にお金がないため、引き落としができなかったりと、支払いが延滞することがよくあります。
そのため、入金がなかった相手には支払いが遅れている旨を伝えて、延滞を解消してもらわないといけません。
入金の催促はすごく相手に話しにくい内容かもしれませんが、どこの施設も慈善事業を行っているわけではないので、しっかりと管理をしていきましょう。
3つ目は「その他の事業未収金」です。
名前の通り「その他」なので、国保連事業未収金・利用料事業未収金以外の収益を計上します。
当社では市から依頼がある「認定調査料」の入金を主に計上しています。
また例を挙げますと、8月分の認定調査料は10月に入金があります。
仕訳は割愛しますが、8月末で収益計上の仕訳を起こし、10月の入金時にその他の事業未収金を消すだけですね。
このように事業未収金だけでも3つに分類することができ、その方が未収金の管理が非常にやりやすくなります。
次回は事業活動計算書の人件費についてお話ししようと思います。
ありがとうございました。