5、人件費について
今回は事業活動計算書の大区分に分類されている人件費についてお話をします。
まず人件費ですが、そのままじゃないかって思われるかもしれません。
労働の対価として、会社が従業員に支払われるもの、すなわち給与ですね。
ただ、支払われる対価を色々な科目に分けて計上しています。
理事長のような役員に支払われるものは「役員報酬」に計上します。
給与については、正規職員に支払われるものは「職員給与」、非常勤の職員に支払われるものは「非常勤職員給与」に分かれます。
ちなみに当社では、正規職員以外の準職員・パートの職員に支給される給与は「非常勤職員給与」に計上しています。
またボーナスと呼ばれるものは「職員賞与」に計上します。
ここで少しややこしい説明をしますが、前年度末の決算で、賞与引当金の繰入を行い、賞与引当金を計上したとします。
賞与支給時はこの引当金をまず充当し、不足分を「職員賞与」に計上します。
わかりにくいので具体的な例を挙げますね。
前期末決算時、賞与引当金繰入額5,000,000円
(借方)賞与引当金繰入 5,000,000/(貸方)賞与引当金 5,000,000
当期夏季賞与支給額 7,000,000円
(借方)賞与引当金 5,000,000/(貸方)現金預金 5,000,000
(借方)職員賞与 2,000,000/(貸方)現金預金 2,000,000
引当金では足りなかった2,000,000円については「職員賞与」に計上することになります。
次は「派遣職員費」です。
近年、特に介護職員の人手不足がよく話題となりますが、職員だけでは業務が回らない厳しい状況であれば、人材派遣による充当も考えられます。
実際当社でも人材派遣による人員の充当はしていました。
この派遣元である人材派遣会社に支払われるお金を「派遣職員費」に計上します。
尚、派遣された人は派遣元から給与が支給されるため、派遣先である当社からはこの人に対してお金を支払うことはありません。要はうちの社員ではないので、給与を支払う必要はないということですね。
また、退職した職員に対して支払われたものは「退職給付費用」に計上します。
ただ退職金に対しても引当金の設定をしており、退職金が支払われた時の処理は、上記に記載した賞与引当金と同様の処理となります。
また、細かいことを言うと、会社側が採用している退職金制度の内容によっては処理が異なるのですが、簿記の基本なのでその説明は割愛させて頂きます。
あと注意すべき人件費は法定福利費ですね。
従業員に直接支払われていないお金ですが、社会保険料は従業員と会社側が半分ずつ負担することとなっており、その会社負担分を法定福利費に計上します。
当社ではこの社会保険料を「健康保険料」「厚生年金」「子ども子育て拠出金」の3つに分けて計上しています。
また労働保険料もこの人件費の中に含まれますので、法定福利費の「労働保険」に計上します。
今回は人件費について簡単に説明しましたが、いかがでしたか?
計上するまでの給与計算や社会保険料の計算の作業の方が大変だと思います。
私もこの作業を行っていますが、実際大変です(笑)
あとせっかく人件費の項目なので、人件費率についても併せてお話しておきます。
人件費率とは、収入の内、どれだけ人件費の割合を占めているか、という経営指標の一つです。
算出方法は「人件費÷サービス活動収益×100」で求められます。
簡単な数字を使って例を示しましょう。
例:年間100,000,000円の収入があり、年間60,000,000万の人件費がかかりました。
60,000,000÷100,000,000×100=60(%)
上記の通り、人件費比率は60%と求められます。
これは、収入の60%は人件費という経費に使われていますよ、という意味です。
ちなみに、近年のデータから全国の人件費率は65~67%あたりのようです。
うちはこれより少ないですね(´;ω;`)
次回は、事業活動計算書の大区分、事業費と事務費についてお話しします。
ありがとうございました。