9-3決算を意識した日常業務(資金移動)
今回は決算を意識した日常業務で資金移動のお話をします。
決算の時に未収金、仮払金、未払金、仮受金などは原因をはっきりとさせて、できるだけ金額を消しこんでおきたい科目です。
期中の取引の中で、随時資金移動をしていれば期末で作業することはないでしょうけど、全てを行っていると日常業務が大変になります。
そのため期末で一気に資金移動をさせて解消する項目がいくつもあります。
いくつものパターンを順番に解説していきます。
①固定資産税等に関する資金移動
社会福祉事業のみであれば固定資産税は免税となるはずですが、公益事業や収益事業であれば固定資産税が発生することがあります。
ある拠点で固定資産税が発生するとして、通帳から引き落としとなります。
この固定資産税を負担すべき事業が複数あり(面積割合により費用按分)、且つその事業によって管理している通帳が異なっている場合は、引き落としされる事業のみがお金を出していることから、お金を出していない事業からの資金移動が必要となります。
年に4回なのでその都度資金移動するのも大きな負担にならないかもしれませんが、私は最後の引き落としの後にまとめて資金移動を行っております。
引き落としの時の仕訳は
引き落としされる事業 租税公課/普通預金
仮払金/普通預金 となります。
引き落としされていない事業 租税公課/未払金 となります。
当然仮払金と未払金は同額となり、最後の固定資産税の引き落とし後に資金移動を行い、仕訳は
引き落としされる事業 普通預金/仮払金 となり
引き落としされていない事業 未払金/普通預金 とし、この時にお金を払ってあげるわけです。
固定資産税以外にも、電気料金、水道料金、電話代など1つの通帳から引き落としとなり、複数の事業からの資金移動が必要な経費はいくつかあります。
引き落としの都度、資金移動ができるのであれば、決算直前に資金移動の手間がなくなります。
どうしたらいいのかは法人によって異なりますが、資金移動の漏れがないようにして下さい。
その他の経費でも按分し、資金移動が必要であれば決算前に確認を行い、間に合うように処理を行いましょう。
②人件費に関する資金移動
毎月従業員に対して人件費を支払う時は、それぞれの事業の通帳から支払されており、特別な資金移動は必要ないのですが、問題は役員や管理職の人件費です。
例えば理事長については全ての事業のトップなので、ある事業だけから支払われるのは経費負担が偏っていると考えます。
そのため私は収益基準で按分し、全ての事業に振り分けております。
また施設長のような管理職も複数の事業の管理を行っていることから、上記同様に収益基準で人件費を按分しています。
ここで言う人件費は、人に対して支払われた金額だけではなく、会社が負担すべき法定福利費も含んでおりますので、この按分も忘れないようにしないといけません。
尚、決算前に行うべきことなので、3月収益を待っていたら翌期になってしまいます。
2月までの11か月分で収益を合計し按分計算を行いましょう。
③みなし寄付金に関する資金移動
収益事業から非収益事業に寄付金という形で資金移動をした場合に、収益事業の損金と認められる制度があります。
細かい話をすると長くなるので、要点だけを押さえると、
A,寄付金支出前の所得の金額の50%
B、年200万
のどちらか大きな金額が認められます。
そして重要なのは、資金移動を実際行っている事実が必要なのです。
そのため適用されるためには決算前に資金移動を行っていなければなりません。
当法人の収益事業は、そこまでの利益がないため大きな影響はありませんが、大きな利益を生んでいる収益事業を行っている法人であれば、経費が捻出されるのはありがたい話です。
忘れずに行うようにしましょう。
資金移動に関するお話は以上となります。
次回は実際の決算業務についてお話しします。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。